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「情報」には形がない、だからこそ「信頼」が価値になる

データ事業局 企業調査部『CSR企業総覧』編集長 S.M.

プロフィール

データ事業局企業調査部『CSR企業総覧』編集長

S.M.

東洋経済新報社に新卒入社後、データ事業局に配属。非財務情報分析サービス「ESGオンライン」や『外資系企業総覧』など、各種企業調査や評価に携わり、現在は『CSR企業総覧』編集長として、企業のCSR・ESG・サステナビリティ情報に関する情報収集・発信を手がける。

東洋経済新報社に入社した理由や、決め手について教えてください。

私は文系の大学院で、データを活用した政策の実証分析をメインに研究していました。そのため就職活動では、自分の強みを活かせる「統計分析やデータを扱う仕事」を軸に、シンクタンクやコンサル、IT業界を中心に見ており、いわゆる「出版社」「メディア」業界でエントリーしたのは当社だけでした。
では、なぜ東洋経済にたどり着いたかというと、きっかけは大学院の先輩からの紹介でした。その先輩が『就職四季報』の学生アルバイトをしていて、「働きやすくて待遇も良い、面白い会社があるよ」と薦めてくれたのが東洋経済でした。正直に言えば、そんな甘い言葉が最初のきっかけです。

しかし、そこから会社のことを調べていくうちに、データ収集・分析という理系的な側面と、それを社会に広く発信するという文系的な側面を融合したような仕事内容に強く惹かれ、気が付けば入社を決めていました。分析ばかりしていた院生時代でしたが、就職活動は「人の縁」が決め手になったのは、なんだか面白いなと思います。

担当している仕事は何ですか。

私が編集長を務める『CSR企業総覧』は、近年注目されるようになった企業の「非財務情報」を集めたデータブックです。サステナビリティ、SDGs、ESGといった言葉を耳にする機会があるかもしれませんが、簡単に言えばこれらに関連する企業の取り組みの情報を集めています。例えば、働きやすさの指標となる「新卒社員の3年後離職率」や「女性管理職比率」、社会貢献度を示す「従業員のボランティア活動参加人数」、環境への配慮を示す「温室効果ガスの排出量」など、幅広い情報が対象です。

私の最も重要な業務は、こうした項目をまとめた調査票を作成して企業に送り、回答を正確に編集して、信頼性の高いデータとして世の中に届けることです。また、企業向けの質問会や意見交換会を開催したり、集めたデータを元にランキング記事を執筆したりと、情報発信や企業とのコミュニケーションも積極的に行っています。これは局内のほかの調査や刊行物にはない、ユニークな特徴だと思います。

仕事のやりがいは何ですか。

やはり、苦労して作った刊行物やデータサービスが、無事に世に出たときは、大きな達成感があります。私たちが発信するのは、「東洋経済」だからこそ集められるオリジナルな情報も多く、それが社会に提供できることには、大きな社会的意義も感じます。

また、刊行物や記事・サービスに対して、読者やユーザーの方から、リアクションをいただけるのも嬉しい瞬間です。時には厳しいご意見をいただくこともありますが、それは私たちの発信する情報が、それだけ多くの方に注目されている証拠だと思います。

仕事で大事にしていることについて教えてください。

私たちが扱う「情報」には形がありません。だからこそ、それに価値を持たせるには「信頼」が欠かせないと思います。どんなにユニークでも「間違っている(かもしれない)」情報には価値がありません。そのため、「間違った情報を出さない」ということをとても大切にしています。また、私が担当する非財務情報の分野は、社会の変化とともに目まぐるしく変わっていきます。新しい潮流に乗り遅れないよう、常にアンテナを高く張ることも重要です。とはいえ、一人でできることには限界があります。そのため、チームのメンバーに協力を仰いだり、時には社外の専門家と連携したりと、決して独りよがりにならず、多様な視点を取り入れることを心がけています。

働く環境や職場の雰囲気はどうですか。

事業局によってカラーが異なりますが、私が所属するデータ事業局は、比較的、物静かで落ち着いた人が多い印象です。もちろん、円滑に仕事を進めるためにコミュニケーションは活発に行いますし、親切で協力的な人が多いです。

一方で、それぞれが刊行物や調査の担当者として、いわばその分野のリーダーとして仕事をしているため、一人で黙々と作業に没頭する時間も多くあります。個人的には「真面目で雰囲気の良い大学の研究室」という表現がしっくりきます。それぞれの専門性を尊重し、集中できる環境と、困ったときには助け合う温かさが両立していると思います。

東洋経済新報社の魅力は何でしょうか。

一番の魅力は、人の多様性だと思います。当社は大企業ではありませんが、本当に色々なタイプの人がいます。社内にはサークル活動もあり、例えば私は野球部に所属していますが、そこでは部署や年次に関係なく交流が生まれています。ただ、いわゆる「アットホーム」な馴れ合いではなく、一人ひとりがプロとして自立し、互いを尊重している点も当社の特徴です。

また、年次を問わず、個人の裁量が大きいことも魅力だと思います。私の所属するデータ事業局では、若手でもすぐに何かしらの刊行物や調査のリーダーを任されます。つまり、その領域では自分が責任者であり、社内の第一人者となります。多くの企業が若手の登用や自律的な人材育成に苦労していますが、当社ではそれがごく自然な文化として根付いているように感じます。

所属・役職は取材時時点のものです。

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